旅行記 8月のベトナム【終章】
8月17日(日) |
ノンバイ国際空港へ
5:00
本日は最終日。相変わらずダルイ体に鞭を打って早起きし、身支度を整える。
帰りは、往路の行程を、ただ逆に辿るだけ。飛行機で広州、上海と経由しながら中部国際空港、そしてそこから自家用車で長野へ…。目眩がするような行程だが、頑張って消化していくしかない。行きは気分が高揚していたが、帰りで、しかも体調が悪いと、こうも変わるものか…。
送迎の車に乗り込み、ノンバイ国際空港へ。空港はハノイ市街地から結構離れており、車で40分もかかる。地平線から昇ってくる朝陽をボーっと眺めながら、ベトナムの地に静かに別れを告げる。
6:10
ノンバイ国際空港着。早朝だと言うのに、空港は混雑していた。
なお、ここで自分用の土産として、ベトナムのお酒を買おうと思っていたのだが、一足先に帰ったシャド丸君より気になるメールが。
「免税店で買ったハノイウォッカが、香港での乗り継ぎ時に没収された」
恐らく乗り継ぎの際の手荷物検査に引っかかり、没収されたのだろう。これは、ベトナムのビールを持って帰りたい私にとっては由々しき問題である。
とりあえず、免税店のレジにハノイの缶ビールを持って行き、乏しい語彙力をフル活用した、たどたどしい英語で説明する。
「私は中国を経由して、日本に帰国する。友達は中国で酒を取られた。でも私は家でこのビールを飲みたい。」
理解したのかどうかは分からないが、スタッフは笑顔で「ノープロブレム!」と返してきた。
笑顔の「ノープロブレム」は若干疑わしかったが、スタッフを信じることにした。恐らくウォッカは瓶に入っているから没収されたのだ。缶なら大丈夫、液体検査には引っかからないはずだ。
中国南方航空 ハノイ8:35→広州11:15
体調の悪い時は寝るに限る!!…ということで、フライト時間は貴重な睡眠時間。遠ざかりゆくベトナムの大地に別れを告げ、そのままお休みタイムへ…。飛行機の狭い座席では、快眠は叶わなかったが、頑張って寝ることに専念した。
広州白雲空港
5日ぶりの中国。特に感慨とかそういうもはなく、ただただ、体を引きずるように、乗り継ぎ手続をこなす。
そんな時手に入れた、オアシスのような存在。航空機利用者に無料で配布していた「雪碧」という名の炭酸飲料。ボトルのデザインからも分かるが、中国版スプライトだ。
うう…、ありがたい…!!
中国南方航空 広州14:00→中部国際空港21:20
さて、あとはこの便に乗っていれば、黙っているだけで日本に連れて行ってくれる!!…わけではなく、往路と同様、一度上海で降りることになる。
中国らしい、点心っぽい機内食。食欲があるわけではないが、とりあえず、出されたものは食べる。
上海浦東空港に到着。上海の空は、5日前と同じように雨模様。ここでは一度機外に出、中国の出国手続きを済ませてから、再度乗機する必要がある。そして、ここで最後の事件は起こることになる。
それは心配された手荷物検査でのこと。案の定、お土産で購入した缶ビールが引っかかってしまった。「没収する」と言って聞かない検査員。ここで没収され、廃棄されるくらいなら…。私は最後の手段に出た。
「今、この場で飲んでも良いか?」と尋ねた。
どうだ!持ち込まなければ問題ないだろう。しかし、語彙の少ない私が絞り出した懸命の訴えは、あっさり却下された。
あとで知ったことであるが、預け荷物にしてしまえば、持ち帰れたらしい…。これは次回への反省だろう。一悶着はあったが、あとは日本まで飛行機に揺られるのみだ。
また機内食。腹は減ってはいないが、暇つぶしのために食べる。
帰りのフライトはあまりに退屈なので、デジカメの写真を見ながら、今回の旅の思い出を振り返ることにした。電波を発する機器が使えない機内では、いつもそうやって暇を潰している。
初日はひたすらの長距離移動で、緊張しっぱなしだった。ホテルが見つからないというハプニングはあったが、友人と合流できた時は心底安心した。
2日目は日本語ツアーに参加し、比較的ぬるま湯な一日だった。夜の屋台での食事は、味も美味しかったが、なかなか楽しい食事だった気がする。
この旅で最も過酷で、思い出深かったのが3日目だ。夜も明けぬうちから出発し、炎天下の中フラフラと歩き回り、海で泳いだうえに、一日でベトナムを縦断してしまった。本旅行記のタイトル「猛暑のベトナム珍道中」は、この一日に凝縮されていると言っても過言ではない。
4日目は2日目と同様にツアーに参加したが、こちらの方は結構ハード。しかし、ハロン湾の絶景は素晴らしく、またシーカヤックもエキサイティングで、大満足のツアーであった。
無理な行程をこなしてきたツケがついに回ってきた5日目。病体に鞭打って観光したが、一番印象に残っているのは、冷えたビールの美味しさだった。
そして6日目。グッタリと疲れた体を飛行機のシートに預け、思い出に浸っている。過酷過ぎて体調まで崩してしまったが、今まで行った日本旅行よりも内容が濃く、楽しい旅であった。
デジカメのモニターを眺めたり、うたた寝をしたりしているうちに、飛行機は夜の中部国際空港へ向けて、高度を下げていった。
中部国際空港
ただいまニッポン!!
ベトナムでは気を張っていることが多かったが、やはり日本は安心するなぁ。見慣れた日本語の看板に従って駅へと向かい、使い慣れた自動券売機で、知っている駅までの切符を買う。
日常に帰ってきたのだなぁ…と、安心感半分、寂しさ半分の、何だか妙な気分。常滑駅を降りると、有料駐車場で愛車が主人の帰りを待っていた。
家に帰るまでが旅行。その「家に帰るまで」が長いなあと、ウンザリしたが、最後の気力を振り絞って、我が家のある長野県に向けて出発した。
なお、家に着いた頃には日付はとうに変わっており、私は倒れこむように眠りについた。そして、翌日の仕事は風邪のため、お休みしてしまったのは言うまでもない。
長々とした旅行記にお付き合いいただき、ありがとうございました。
「旅行記 8月のベトナム」 完
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|投稿:2016.04.29 | 最終更新:2019.02.17 |カテゴリ: 旅行記
旅行記 8月のベトナム 【5-3】The Last Night in Vietnam
8月16日(土) |
ベトナム名物、水上人形劇
シャド丸君が去った後は、ホテルのロビーでしばし寛ぐ。ロビーではコーヒーが飲み放題。一泊1,200円にしては、極上のサービスと言って良いだろう。
ベトナムらしく練乳をたっぷり投入して、甘くして飲む。うーん、この甘さがクセになりそうだ。
休息後は、ベトナム名物の水上人形劇へ。水上人形劇はベトナムの農村に伝わる人形劇であったが、現在ではベトナムを代表する観光資源になっている。水上人形劇については、Wikipediaを参照されたい。
事前にもらった演目表によると、短編の人形劇が14話行われるようだ。「農村の生活風景」、「魚釣り、漁獲」など、農民の生活に根差したものから「龍踊りの上演」、「鳳凰の踊り」などお祭りのような雰囲気のものまで、演目は様々だ。
人形はコミカルに、時にダイナミックに水上を駆け回る。竿によって操られているはずだが、それを感じさせない、まるで生きているかのような動き。舞台の横で奏でられる音楽が、劇をさらに盛り上げる。たかが人形劇とタカをくくっていたが、これは素晴らしいエンターテイメントだ!!
写真のように、火を使う場面や龍が煙を吹くこともあり、大迫力だ。楽しかった演舞は1時間ほどで終了。
さて、ベトナム最後の夕食だ。
夕食はニュー・デイという大衆食堂。地元民だけでなく、欧米系の客も多く、店内は大変賑わっていた。ビールにおかず、飯、どれも非常に安く、残金は心許なかったが、たらふくいただいた。おかずは中華っぽいテイストを汲んだ品々で、美味しかった。
マッサージにて一悶着
さて、残ったお金でできることは限られているが、せっかくだから最後にマッサージを受けてみたい。ホテルでもらったクーポンが使える店に行ってみた。歩き回って足がむくんでいたガッツ君はフットマッサージを、体調悪く、全身がダルイ私は全身マッサージを選択。
アロマが炊かれた個室にて、ベッドにうつぶせになる。お兄さんによるマッサージが始まった。財布を含め、荷物や服を身体から離しておくのは不安だったが、思いのほかマッサージが気持ち良く、そんな些細なことはどうでも良くなった。背中、腕、足…体中を指圧され、旅の疲れが癒されていく感じ。アロマについては詳しくないが、部屋に充満しているこの香りも、癒し効果があるんだろうなぁ。
…というわけで、癒しの時を楽しんでいたのであるが、突如としてそれはぶち壊される。それはマッサージが終わり、身支度を整えている時に起こった。マッサージ師のお兄さんが、英語で何か喋りだした。私が聞き取れずにいると、お兄さんは携帯電話の画面を見せてくる。あらかじめ入力しておいたのか、英語で文章が書かれていた。
「私たちの給料はチップによって払われている。なので、***VDN(詳しい額は失念)支払って欲しい」
そう読めた。このような事実はなく、恐らく店側には内緒で、小遣いを稼ぎたいのだろう。相手にすることはないと思い、軽く一蹴する。一度断れば、引き下がると思ったのだが、彼は執拗にチップを要求してくる。
とても良いサービスを受けたし、ベトナムにチップの習慣が根付いているのであれば、払っても良かったのだが、如何せん今の残金では彼の要求には応えられない。
「残念ながら、料金以上のお金は本当に持っていないんだ」ということを必死に説明したところ、彼も諦めたようだ。何だか、お互い残念な気分になり、個室を後にする。
フロントに戻ると、ガッツ君がフットマッサージの最中であった。彼は法外な請求を受けることはなく、とても満足そうな表情だった。
旅の終わりにスコールが降る
21:00
ガッツ君が帰路につく。雨が降り出していた。それも生半可な雨ではなく、まさにバケツをひっくり返したようなスコール。意外なことだが、ベトナムに着いて初めての雨であった。
ガッツ君が慌ただしく車に乗り込む。私はホテルの玄関口で、それを見送る。初めてのスコールを全身で体感してみたかったが、大粒すぎる雨に尻込みし、庇の外には出られなかった。
路上で飲んでいた人々は、軒下に入り込み、何事もなかったように飲み続けている。日本では豪雨と呼んでも良いような雨だが、ここでは日常的な降水量。現地の人々がとても逞しく見えた。
ガッツ君を乗せた車のテールランプが、雨に溶けるように遠ざかってゆく。さて…、一人になってしまった。何をしようか……と言っても、残金はないし、明日は早い。ホテルのロビーで、またもや無料コーヒーを飲み、寝ることにした。
余談だが、一足先に帰ったシャド丸君は、自他ともに認める雨男だ。彼が帰った後にスコールになるとは…、彼の雨男ぶりは国内限定だったのだろうか…?
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|投稿:2016.04.15 | 最終更新:2019.02.17 |カテゴリ: 旅行記
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