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五島列島旅行記【5-3】日帰りで行く野崎島【後編】

五島列島

2022年5月7日(土)

五島列島旅行5日目
五島列島の北部、小値賀島から町営船で野崎島にやってきました。野崎島一番の見どころである旧野首教会を見学。残った時間で野崎港周辺を散策したいと思います。






野崎ダム 旧野首教会の裏には、まさかのダム!?



旧野首教会のすぐ近くには、小さな離島では、ましてや無人島ではほとんど見ることができない施設が存在します。

それが野崎ダム!

「え?まさか住民が1人しかいない野崎島にダムがあるなんて…!」僕も実際に訪れるまで、半信半疑でした。


五島列島

現地に行ってみると、確かにダムがありました。

2つの山の間にある僅かな谷地形に作られたダム。石で積まれた堤体の150m向こう側には海が広がっています。背後には世界遺産の教会、正面には海、そんなありえない立地に存在するのが野崎ダムなのです。

そんな野崎ダムですが、対岸の小値賀島に農業用水を送水するために造られました。全体的に平坦な小値賀島では水を得ることが難しいため、野崎島で集水し、海底を通したパイプラインで水を送り込んでいるというわけですね。なんという大胆なアイデア!


五島列島

12:40
そんな野崎ダムを見下ろす場所に東屋があったので、そこで昼食をいただきました。お昼ご飯は中通島のスーパーで購入した蒸しパン。

野崎島には当然飲食店や売店などもないため、お昼は事前に買っておく必要があります。今回は船の乗り継ぎの都合上、小値賀港で食料を買う暇がなかったので、中通島で購入しておいて正解でした。




野崎島自然学習塾村 野崎島唯一の宿泊・休憩施設

五島列島

旧野首教会の近くにある野崎島自然学習塾村。1985年に廃校になった小中学校を再利用した宿泊施設です。簡易宿泊施設なので食事は出ませんが、調理室があるため自炊は可能。また、1,000円で日帰り利用も可能で、休憩だけでなくシャワーや調理室を利用することができるようです。

今回は野崎島には3時間のみの滞在なので、利用はしませんでした。


五島列島

行きに通った道を引き返し、野崎港方面へと戻ります。野崎港の周辺にも立ち寄っておきたい見どころがあるのです。

この写真は野首集落と野崎集落の間の峠のような場所から撮影したもの。ここからの眺めは本当に素晴らしいです。野崎島から約20km離れた平戸島も、ハッキリと見ることができました。

ここで余談。小値賀島や野崎島は五島列島の一部とするのが一般的ですが、平戸諸島の一部だとする場合もあるようです。イマイチピンと来ないですが、小値賀町が本土の佐々町と同じ「北松浦郡」であったり、ナンバープレートが佐世保ナンバー(五島市と新上五島町は長崎ナンバー)だったりと、平戸方面と結びつきが強いのかもしれません。




野崎火山火口跡 大迫力の大断崖が見られる火口跡

旧野首教会から野崎集落まで戻ってきたところで13:25。帰りの船の出港時刻までは、あと2時間弱。まだまだ余裕があるので、野崎集落の北の方にある野崎火山火口跡に向かうことにしましょう。


五島列島

集落を一歩出ると、このようなフカフカの芝生が広がるエリアに出ます。まるでゴルフ場のよう。歩いていてとても気持ちの良い場所ですが、道が不明瞭でちょっと分かりにくいかもしれません。道に迷って即遭難ということはないと思いますが、所々建っている看板を目印に進みましょう。

五島列島

こちらでも野崎集落の中で見られたような、シカによる食害と思われる跡を見ることができます。赤土が剥き出しになり、地面が徐々に崩れていっているかのような、少し不気味な光景ですね。


五島列島

13:40
野崎集落を出発し、ゆっくりと写真を撮りながら歩いて約15分。野崎火山火口跡に到着しました。その名のとおり、こちらの断崖はかつての噴火口跡だと言われています。

切り立った断崖絶壁が湾状に続いており、確かに火口跡っぽいですね。眼下に広がっている海も透き通っており、非常に綺麗でした。


ちなみに正面に見える島は六島。令和2年時点で人口1名という、非常に小さな島です。




野崎集落周辺でシカを観察

五島列島

14:00
野崎集落に戻ってきました。

狭い道の両脇には立派な石垣が積まれていますが、石垣の内側には朽ち果てた家々。建物の原形が残っていればまだ良い方で、更地になってしまっている家もありました。

旧野首教会を有するなど、キリスト教徒が多かったイメージのある野崎島ですが、ここ野崎集落では神道が信仰されていたそうです。


五島列島

こちらが野崎島北部にある沖ノ神島神社の神官が暮らしていた屋敷。神官は野崎島最後の住人としても知られており、2001年までこちらで暮らしていました。

約20年前まで人が暮らしていたこと、またその後保存されていることから、この建物だけは現役の住居と遜色ない程度に保たれています。

見学することも可能なのですが、見学時間はビジターセンターのスタッフが施錠する時間まで。ビジターセンターでは「14時には鍵を閉めます」と説明されました。今の時刻は14:05

あ…。

これは完全にウッカリしていました。まぁ後悔しても中に入ることはできないので、諦めることに…。この神官屋敷は見学可能時間がありますので、見学される方はビジターセンターでの説明をキチンと聞き、計画的に野崎島を巡るようにしてくださいね…。


五島列島

五島列島

残った時間は野崎集落内を散策しながら、シカを撮影しながら過ごしました。野崎集落内は非常にシカの密度が高く、ちょっと歩くとシカと出会うことができました。自然淘汰により、最盛期よりは数を減らしているものの400頭ものシカたちが暮らしているようです。

5月と言えども、3時間外を歩き回ると疲れますね。ヘロヘロになってきたので、出港の30分前には港の近くのビジターセンターに戻り、ベンチで休んでいました。




町営船「はまゆう」で小値賀島へ戻る

五島列島

15:10
町営船「はまゆう」に乗り、小値賀島へ戻ります。

この船は小値賀島からやってきた最終便なのですが、工事関係者らしき方が数名下船し、軽トラに食料やらビールやらを積みこんでいました。きっと、長期に渡って泊まり込みで工事があるのでしょう。

往路と同じように、船内で切符を購入します。


五島列島

あっという間に背後に遠ざかる野崎島。やや右側に見えているのが野崎集落、左側に見えているのが野首集落です。離れた場所から見ると、段々畑がクッキリと見えるので、まだまだ人が暮らしているように見えますね。

帰路の「はまゆう」では、船の後部にあるデッキの席を確保できたので、潮風を浴びながらのクルージングを楽しみました。


次回は小値賀島をレンタカーで巡ります。


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|投稿:2022.11.28 | 最終更新:2022.11.28 |カテゴリ: 旅行記

五島列島旅行記【5-2】日帰りで行く野崎島【前編】

五島列島

2022年5月7日(土)

五島列島旅行5日目
五島列島南部の福江島から始まった旅、5日目にして、五島列島の北部にある小値賀島までやってきました。本日から1日かけて小値賀島と、その周辺に点在する小さな島々を巡りたいと思います。




最初のターゲットは小値賀島の東部にある野崎島

中通島最北端の津和崎鼻からも見えましたが、野崎島は中通島の津和崎から600m程沖に浮かぶ島。大きさは小値賀島の半分程。五島列島の中では大きな部類の島ですが、実質的には無人島です。「実質的に」と書いたのは、野崎島に住民票を置いている方が1名のみいるため。この方は島にある野崎島自然学塾村の管理人であり、島にある教会の案内等のために駐在している方なんだそうです。

そんな野崎島ですが、五島列島の中でも人気がある島の1つ。その理由は、野崎島の集落が世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する遺産の1つであるため。特に、集落に建つ旧野首教会は廃教会ながら、五島列島でも屈指の人気を誇る教会です。

今回は小値賀島を拠点とし、日帰りで野崎島を訪問する計画です。






野崎島を訪れるには事前連絡が必要

野崎島を訪れるにあたって注意点がいくつかありますが、何といっても重要なのが事前に「おぢかアイランドツーリズム」に連絡しておく必要があること。野崎島は「ほぼ無人島」。島を訪れたは良いけれど、帰り便が欠航となり島に取り残されるといったトラブルを避けるため、事前に訪問者を把握しておくということなのだそうです。



五島列島

小値賀港ターミナルの建物の中には総合案内所があります。ここがおぢかツーリズムアイランド協会。野崎島に行くにあたり、こちらに荷物を預けることができます。野崎島内の移動は基本的に徒歩。スーツケースなど、重い荷物は邪魔になるため、こちらに預けさせていただきました。


五島列島

野崎島へ向かう小値賀町営船「はまゆう」が発着しているのは笛吹港。小値賀港ターミナルからは徒歩5分くらい離れた場所に位置しているので、注意しましょう。




町営船「はまゆう」で野崎島へ

五島列島

こちらが小値賀町営船「はまゆう」。かなり小さめの船ですが、50名以上も乗れるようです。「はまゆう」は小値賀港の隣にある笛吹港を拠点とし、小値賀島の周辺にある大島六島、そして野崎島という3つの島の間を行き来しています。

かなりローカルな雰囲気で、切符は船内で船員さんから購入します。


五島列島

船内はこんな感じ。3人がけの座席が並んでおり、非常に快適。デッキにも数席ほど椅子席があります。

11:10
我々と数組の観光客を乗せ、「はまゆう」が出港。教会を訪れる観光客を意識しているのか、「はまゆう」は荘厳なBGMを大音量で流しつつ、野崎島へ向かって進んでいきます。船が小型なので、波で結構揺れるのですが、そんなことはお構いなし。トビウオのように猛スピードで海上を駆け抜けます。


五島列島

11:25
船は野崎島の南側をグルリと回り、野崎島の東岸へ。ここで船内放送。野崎島南端にあった集落、舟森集落跡が見えるとのこと。

なるほど、確かに険しい斜面を切り拓いたような跡があり、階段や石垣、さらには十字架のような物まで見えました。おおよそ人が暮らせそうな場所とは思えないほど険しい斜面ですが、確かにここでも生活が営まれていました。野崎島には3つの集落がありましたが、舟森集落が最も早い1966年に廃村になったのだそうです。

舟森集落へは、野崎島の港から徒歩で2時間の道のり。迷いやすいルートなので、ガイド同伴で訪れることが推奨されています。


五島列島

「はまゆう」は野崎島の東側の海域に入り、いよいよ上陸の瞬間が近づいてきました。

そんな中、進行方向左側には立派な教会が見えました。

これこそが旧野首教会。野崎島中央部の野首集落跡にある、島のシンボル的存在です。確かに物凄い存在感。ただものではないオーラを身にまとった教会です。


五島列島

11:30
野崎島に到着しました。小値賀島からの距離は近いですが、島の東側に回り込むので、20分くらいかかりました。




野崎港から旧野首教会を目指す

五島列島

野崎島に着いたら、港の目の前にあるビジターセンターへ。島を訪れる場合は、必ずビジターセンターに立ち寄る必要があります。

同じ便で訪れたお客さん全員で、スタッフのお話を聞きます。基本的には野崎島の道の案内や、散策の際の注意事項、滑りやすい箇所なども教えていただきました。

なお、ビジターセンターには綺麗なトイレがあります。島内にはビジターセンターと旧野首教会近くにある野崎島自然学塾村にしかトイレがないため、ここで済ませておくことをおススメします。


五島列島

野崎港の近くには野崎集落跡が広がっています。保存されている一部の家を除けば、全て廃墟となり、崩壊してしまっているものがほとんどです。

道自体は管理されているため、問題なく散策することができます。


帰りの便の出発時刻までは約3時間半。まずはこの島を訪れた一番の目的である旧野首教会へ向かうことにしました。


五島列島

家も畑も自然に還りつつある何とも寂しい光景。やはり人の手が入らなくなると、どんどん植物に飲み込まれていくのですね。

所々植物も無く、土が剥き出しになっている箇所が…。これは増えすぎたシカによる食害なんだそうです。


五島列島

港から数分歩くと集落が途切れ、森の中に入ります。森の手前には獣除けのための思われる金網。

野崎島にはシカとイノシシが生息しています。イノシシに出会うことはありませんでしたが、シカには何頭も遭遇しました。


五島列島

早速森の中にシカ。シカはジッとこちらの様子をうかがっていましたが、すぐに森の奥へと消えていきました。

基本的にはどこの地域でも同様ですが、野生動物とは極力関わらないことがルール。可愛いですが、遠くから眺めるのみに留め、エサをあげたりすることは絶対にやめましょう。


ちなみに野崎集落を出たあたりから、急な上り坂が始まります。野崎港から旧野首教会までは徒歩で30分程度。そこまで長い距離ではありませんが、この辺りは少し息が切れました。


五島列島

小高い峠のようなところを通るため、そこからの景色は抜群。野崎港の東側に広がる大草原を望むことができます。この草原は「サバンナ」と呼ばれているそう。確かにアフリカの草原を彷彿させる雄大な景色です。


五島列島

眼下にはエメラルドブルーに輝く海。どちらを見ても絶景。疲れも吹き飛びます。

野崎集落から上り坂が続いていますが、野首集落の手前で峠を越え、今度は急な下り坂へと転じます。野崎港から旧野首教会まではほとんど全ての区間が舗装されており、坂は多いですが、割と歩きやすいです。野崎島自然学塾村の管理人や工事関係者が車で通行するためか、軽自動車が通れる程度の幅は確保されていました。



五島列島

12:15
ビジターセンターを出発し、のんびり写真を撮りながら歩くこと約25分。ついに旧野首教会が見えました。

南北に細長い野崎島の中央部、2つの山に挟まれた僅かな平地。ここに野首集落があり、住民の心の拠り所として、野首教会がありました。家や畑はほとんど残っていませんが、教会だけは今でも大事に保存されています。

ちなみに左下に見えている建物が、野崎島唯一の宿泊施設であり、唯一の住民が住む野崎島自然学塾村。1985年に廃校になった小中学校を再利用した施設で、宿泊だけでなく有料で休憩をすることも可能です。

野首集落へ向け、急な下り坂をゆっくりと下り、旧野首教会に到着しました。




旧野首教会 住民が去った孤島に佇む荘厳な教会

五島列島

12:25
こちらが旧野首教会です!

これは凄い…!特別大きいわけでも、特別豪華な造りというわけでもありませんが、言葉では言い表せない荘厳さ、迫力があります。周囲に何もないというシチュエーションも相まって、物凄い存在感を放つ教会です。


五島列島

旧野首教会が完成したのは1908年。なんと明治時代に建てられた建物なのです。1971年に野首集落が廃村になってからは放置されていましたが、1989年に長崎県の指定有形文化財に指定され、修復されました。

なお、僕が訪れた2022年の5月時点では教会が崩落しているようで、内部への侵入が禁止されていました。中を覗き込んだ限りでは壊れている様子は無かったのですが、長い年月風雨に晒され、見えない部分が傷んできているのでしょうね…。

この教会を見るために海を渡り、30分歩いてきたので、しばらくの間教会を眺めていました。


次回は野崎島のその他の見どころを巡ります。


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|投稿:2022.11.17 | 最終更新:2022.11.17 |カテゴリ: 旅行記

五島列島旅行記【5-1】コムスで上五島ドライブ

五島列島

2022年5月7日(土)

五島列島旅行5日目
五島列島の旅も本日を含めて残り2日。今日は中通島を離れ、さらに北上、小値賀島へ向かいます。






コムスを借りて赤尾郷までドライブ

小値賀島へ向かう船が有川港を出航する時刻は10:15。少しだけ時間の余裕があるので、最後に有川周辺の観光を楽しむことにしましょう。

五島列島

8:15
…というわけで、コムスをレンタルして小ドライブを楽しむことにしました。

コムスとは、トヨタが発売している超小型の電気自動車。なんと1人乗り用です。ちょっとした近所の散策や狭い道の運転には向いていると思います。何より、単純にコムスに乗ってみたかったので、今回レンタルすることにしました。



コムスは有川港近くにある「五島うどんの里」で借りることができます。事前予約制で、1時間単位で借りることが可能です。遠距離ドライブには向きませんが、ちょっとした空き時間に借りるには最適だと思うので、気になる方は利用してみては如何でしょうか。

【参考】新上五島mobipa


五島列島

人生で初めてコムスに乗り込みました。おー本当に1人乗りだ。もっと原付バイクに近い感じかと思っていましたが、意外と自動車っぽいですね。ハンドルやシートベルトもしっかり付いているし、ファスナー(コムスにはドアがない)を閉めればしっかりと雨風も凌げるし。ただ、席が1つしかないのが非常に違和感…(笑)

トランクも付いていますが、大きな荷物は乗らないため、スーツケースは「五島うどんの里」に預けていくことにしました。

「五島うどんの里」の駐車場で少し運転の練習をして、いざ出発!




赤尾郷 石塀と路地の漁村を散策する



8:55
有川からコムスを走らせ、赤尾郷までやってきました。ここまでの道は比較的緩やかなアップダウンがある道でしたが、コムスはスイスイと安定感のある走りを見せてくれました。何より、バイクのように風を感じながら走ることができるのが気持ち良かったですね。


五島列島

赤尾郷は前日訪れた石畳の街、友住郷の隣にある集落。採石が盛んだった崎浦地区に位置しており、赤尾郷もまた石を使った街並みを見ることができる集落です。

海に面した家々の前には、複雑に組まれた石垣が築かれていました。


五島列島

五島列島

赤尾郷の集落の中を歩いてみました。

板状に加工された石を使った家が目立ちます。このような石を使った家は、赤尾郷に約50軒程見られるのだそう。腰の高さ程の石であることから、「腰板石」と呼ばれているそうです。

床下にイモを貯蔵する家も多いようですが、腰板石は貯蔵庫への風雨に侵入の防止、温度・湿度の管理などにも使われていたのだとか。まさに石と共に歴史を刻んできた集落。そこかしこに石が使われており、見ていて興味が尽きません。


五島列島

五島列島

集落の中では、何匹かのネコとも遭遇しました。やはり島はどこもネコが多いですよね。色々な隙間からネコが登場し、とても癒されました。




孕神社 水難事故で命を落とした宇久氏の奥方を祀る神社

五島列島

赤尾郷の中には孕神社があります。

1つ前の記事でも紹介しましたが、この神社には中通島と頭ヶ島との間の海峡での水難事故で命を落とした宇久氏の奥方が祀られています。亡くなった奥方が妊娠していたことから、孕神社と名付けられたのだそうです。


五島列島

孕神社には鯨を模した石像もあります。この辺りは捕鯨も盛んであり、この石像は捕鯨漁師から奉納されたものなのだそうです。潮を吹く構造になっているようですが、残念ながら水は止められていました。


約30分の赤尾郷散策を終え、有川へと戻りました。コムスでの散策は非常に楽しかったですね。離島など、長距離を運転しないような場合は、このような小回りが利く乗り物を借りるというのも1つの手だと思いました。




中通島から高速船「びっぐあーす2号」で小値賀島へ

五島列島

「五島うどんの里」にコムスを返却し、ついでにお土産を購入し、有川港にやってきました。この後、九州商船の高速船に乗り、次なる島、小値賀島へ向かうのです。

捕鯨で栄えた有川。フェリーターミナルの前にもクジラのモニュメントが飾られていました。


五島列島

ターミナルの中にもクジラ!

天井から吊るされたクジラとクジラの骨は迫力満点。一見の価値があります。事前に予約していたチケットを受け取ったりしながら、高速船の到着を待ちます。

フェリーターミナル内には小さなお土産屋、捕鯨の歴史が学べる鯨賓館ミュージアム(入館料210円)が併設されており、船を待つ間も退屈することなく過ごすことができます。


五島列島

10:10
佐世保からやってきた高速船「びっぐあーす2号」に乗り込みます。中通島から小値賀島へ直接向かう手段は限られており、有川港から高速船に乗る方法、青方港から博多行のフェリーに乗る方法の2つのみ(津和崎港から便も出ていますが、期間限定です)。今回は便数が多く、所要時間も短い高速船を利用することにしました。

今回乗船した「びっぐあーす2号」は幅の広い高速船。飛行機のように座席がズラリと並んでおり、300人もの客を運搬することができます。ただ、ほとんどのお客さんは有川港で下りてしまい、有川から小値賀島、宇久島方面へ向かう客はかなり少なめという感じでした。


五島列島

10:15
定刻通り有川港を出発。

さすがは高速船。グングンと速度を上げ、あっと言う間に有川の町が遠ざかっていきます。…とは言っても中通島がすぐに見えなくなるというわけではありません。津和崎へ向かって長ーく伸びた半島に沿って北上していくため、しばらくは進行方向左側には中通島北部の風景が広がります。


五島列島

有川港のお土産屋さんで購入したアイスを、船内でいただきました。五島列島の銘菓である「かんころ餅」の味のアイス。濃厚なイモの味が楽しめます。ご当地フレーバーのアイスは、ついつい買ってしまいますよね。


五島列島

10:40
中通島最北端の津和崎鼻沖を通過。深い森に囲まれた津和崎灯台も見えています。昨日はあそこまで行ったんですね。

津和崎鼻を過ぎると、小値賀島はもう目前です。


五島列島

10:50
小値賀島小値賀港に到着。本日から翌日のお昼頃まで、1日ではありますが、小値賀島とその周辺の島々を周りたいと思います。

さて、次回は世界遺産「旧野首教会」のある野崎島へ向かいます。


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|投稿:2022.11.13 | 最終更新:2022.11.13 |カテゴリ: 旅行記

硫黄の香りがする海の温泉地 下風呂温泉坪田旅館に泊まってみた(青森県風間浦村)

坪田旅館

本州最北の地、下北半島。北海道を間近に望むこの地に、良質なお湯が湧く温泉地があります。

それが風間浦村にある下風呂温泉

下風呂温泉は下北半島の北部、津軽半島を望む海岸沿いにある温泉地です。以前訪れたことがあるのですが、その時は共同浴場で入浴しただけで宿泊はしませんでした。硫黄の香りがするお湯が素晴らしく、また海鮮料理も非常に美味しいと評判なので、いつかは泊まりで訪れてみたいと考えていました。

2022年の8月、ついに念願かなって下風呂温泉に泊まる機会が訪れました。今回宿泊したのは坪田旅館。この記事では坪田旅館に泊まった時の様子、坪田旅館のお風呂や食事などについて紹介したいと思います。






下風呂温泉坪田旅館に宿泊した



今回宿泊した坪田旅館下風呂温泉の温泉街にある旅館。下風呂温泉の温泉街は津軽海峡に面したわずかな平地に広がっており、ホテルや旅館がビッシリと立ち並んでいますが、坪田旅館はその中でも最も山側に位置しています。


坪田旅館

こちらが坪田旅館です。

国道279号線から温泉街に入る細い道に入り、山側に向かって坂を登り切った場所に建っています。2階建ての比較的小さな旅館で、アットホームな雰囲気が魅力です。




坪田旅館のお風呂

下風呂温泉の宿に泊まったら、何よりも楽しみなのが温泉。下風呂温泉には「大湯系」、「新湯系」、「浜湯系」という3つの源泉が湧いていますが、坪田旅館は「新湯系」の源泉を引いている旅館です。

坪田旅館の浴室は半地下にあります。


坪田旅館

こちらが浴室です。

浴室…いや、脱衣場に入った瞬間に鼻孔を刺激する硫黄の香り。そこまで強い香りではなく、比較的マイルドな感じ。湯船には白濁したお湯がかけ流されています。男女それぞれ、湯船が1つずつというシンプルな造りですが、お湯とじっくりと向き合うためにはこれぐらいシンプルで十分でしょう。

浸かってみると、お湯は結構熱め。水でうめることは可能ですが、まずは湯かき棒でお湯をかき混ぜてみましょう。水面あたりだけ熱くなっていることもあるので、よくかき混ぜれば入浴できる温度になると思います。

体が温まりやすいお湯なので、無理して長湯はしないよう注意が必要。僕も長湯はせず、その代わりに、滞在中に何度も入浴しました。




坪田旅館の食事

目の前の津軽海峡で捕れた新鮮な魚介類をいただけるのも下風呂温泉に宿泊する醍醐味。坪田旅館でも夕食、朝食ともに美味しい海の幸を食べることができます。

夕食

坪田旅館

こちらが坪田旅館の夕食です。

ご覧のとおり、お盆に乗りきらないほどの海の幸が並びます。


坪田旅館

刺身盛り合わせカレイの煮付け。刺盛りに入っていたエビが、大ぶりで食べ応え抜群でした。


坪田旅館

そして珍味4品。

あん肝タコのワサビ漬けウニホヤの酢の物。どれも産地ならではの味。お酒が否が応でも進みます。

坪田旅館

メインはアワビステーキ。磯の香りとバターの旨味、そしてアワビの歯ごたえがたまりません。歯ごたえが似た食材として、エリンギも一緒に焼かれていますが、こちらも美味。


坪田旅館

アワビステーキが食べ終わると、鉄板が下げられ、次なる料理が…。イカのちゃんちゃん焼きです。イカが有名な下風呂ならではの料理。

それにしても焼き物ポジションの料理が2品出てくるのは凄いですね。


他にもホタテ、ニシンなども出され、大満足な夕食となりました。




朝食

坪田旅館

こちらが坪田旅館の朝食。朝食とは思えないほど豪華です。


坪田旅館

青森の郷土料理である貝焼き味噌。ホタテや海藻が入った味噌味の鍋に生卵を落とし、混ぜながらいただきます。朝からこういった郷土料理が出るのは嬉しいですね。


坪田旅館

イカ刺しマグロ刺し

下風呂と言えばイカが有名。昨夜はちゃんちゃん焼きでしたが、朝は刺身。下風呂温泉の宿の朝食と言えば、イカ刺しが定番なんだそうです。透き通るような身のイカは絶品でした。

マグロの刺身は本来夕食に出すべきだったものだそう。うっかり出し忘れたため、朝食に登場しました。これも非常に美味しかったです。

夕食のマグロが出てくるという嬉しい誤算はありましたが、とても豪華な朝食でした。




坪田旅館の部屋

坪田旅館

こちらが坪田旅館のお部屋。今回は2人用の小さめの和室でした。

エアコンが無く、扇風機のみでしたが、涼しい地域なので全く不快感はありませんでした。トイレや洗面所は共同ですが、その他はWi-Fiやテレビなど最低限の物が揃っており、不便することなく過ごすことができました。


メモリアルロードの足湯を堪能する

下風呂温泉を訪れたら是非とも立ち寄って欲しい場所があります。

坪田旅館

それがこちら、メモリアルロードの足湯です。坪田旅館からは徒歩4~5分で訪れることができます。

こちらの足湯、見た目は完全に駅。プラットホームに加え、レールまで敷かれています。この場所には、戦前に建設が進んでいた国鉄大間線下風呂駅ができる予定でした。戦時中の資材不足のため建設は中止されてしまったのですが、既に完成していた高架橋等を利用した遊歩道が整備され、下風呂駅の予定地には足湯が設置されました。


坪田旅館

プラットフォーム上には駅名標も設置されており、本当の駅のよう。

そしてメインの足湯は下風呂温泉らしい硫黄の香り漂う白い濁り湯。熱すぎず、温すぎず、気持ちの良い温度でした。屋根も付いているため、雨天でも足湯が楽しめるのが嬉しいですね。


坪田旅館

足湯から眺める下風呂温泉街。こうして高架橋の遊歩道を見ると、レールさえ敷かれていれば、今にも列車がやってきそうな気配すら感じます。「たられば」になりますが、万が一大間線の建設が順調に進んで入れば、鉄道で下風呂温泉を訪れることができたのかもしれませんね。




坪田旅館へのアクセス・駐車場情報

車でのアクセス

大間崎から国道279号線等を経由して約30分

下北半島縦貫道横浜吹越ICから国道279号線等を経由して約1時間30分


車は宿の前に数台駐車することが可能です。



旅館の50m程手前に共同の駐車スペース(上のストリートビュー)がありますので、宿の前が満車の場合はこちらを利用しましょう。


バスでのアクセス

■JR大湊線下北駅から下北交通の路線バス佐井線に乗車し、約1時間10分。「下風呂温泉」停留所で下車。



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|投稿:2022.11.09 | 最終更新:2022.11.09 |カテゴリ: 青森県

五島列島旅行記【4-5】石の教会「頭ヶ島天主堂」と石畳の集落「友住郷」と巡る

五島列島

2022年5月6日(金)

五島列島旅行4日目
本日の上五島ドライブもいよいよ終盤戦。本日は1日かけて上五島の有人島を全て巡る予定でしたが、午前中までに中通島、若松島、漁生浦島、有福島、日島、桐ノ小島を巡り、残すところは頭ヶ島のみ。

頭ヶ島の見どころと言えば、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の関連遺産の一部でもある頭ヶ島天主堂。次の目的地を頭ヶ島天主堂に定め、中通島最北端の津和崎から南下を開始しました。

ちなみに、頭ヶ島天主堂を見学する場合は事前予約が必要。僕は津和崎を出発する際に電話予約をし、大体の到着時間を伝えました。

電話番号や見学可能時間に関しては、インフォメーションセンターの情報を参照してください。







頭ヶ島大橋を渡り、頭ヶ島へ

五島列島

15:40
津和崎からひたすら南下し、宿がある有川をも通り過ぎ、頭ヶ島の入口である頭ヶ島大橋までやってきました。この辺りは中通島でも最も西に位置するエリアです。

頭ヶ島は中通島の北西沖に浮かぶ、人口20名足らずの小さな島。1981年に頭ヶ島大橋が開通したことにより、中通島から車での往来ができるようになりました。


五島列島

中通島と頭ヶ島との間にある孕瀬戸

かつて、五島列島を治めていた宇久氏の奥方を乗せた船がこの海峡で転覆し、奥方が命を落としました。その奥方が妊娠中であったことから、この海峡が孕瀬戸と呼ばれているのだとか。亡くなった奥方は、中通島にある孕神社に祀られているようです。

橋の上からは頭ヶ島と孕瀬戸、中通島の東側に位置する平島(西海市)を望むことができます。




頭ヶ島天主堂 美しき石造りの教会


15:45
頭ヶ島にある頭ヶ島天主堂にやってきました。


五島列島

頭ヶ島天主堂には観光客用の駐車場が用意されています。それでも駐車可能台数には限りがあるため、事前予約制を採っているのですね。確かにこの駐車場以外には駐車スペースはほとんど無く、無制限に観光客を受け入れたら、島民の生活や礼拝に影響が出てしまうような気がしました。

駐車場に車を停めたら、まずはインフォメーションセンターへ。頭ヶ島天主堂を見学する場合、このインフォメーションセンターには必ず寄らなくてはなりません。ここで頭ヶ島天主堂見学の際の注意事項に関する説明を受けます。

なお、頭ヶ島天主堂は内部も見学することが可能な稀有な教会。ただ、見学は30分以内に制限されており、時間も「毎時0分~30分、30分から0分」というように、入れ替わり制になっています。「今すぐ見学を始めて16時までに退場するか、15分待って16時から入場するか」選択を迫られることに…。16時まで待ってからゆっくり見学したかったのですが、レンタカーの返却時間が迫っていたので、前者を選択することにしました。


五島列島

五島列島

こちらが頭ヶ島天主堂です!

全国的に見ても非常に珍しい石造りの教会。島内で採掘された石を積み上げて、築かれたのだそうです。年月とともに石が色褪せ、レンガ造りの教会とはまた違った重厚感を醸し出しています。


五島列島

先述しましたが、頭ヶ島天主堂は教会内部も見学することができます(他の教会は、新型コロナウイルスの影響で、見学を取りやめているところが多い)。

スタッフの方同伴のもと、教会内部に入り、素晴らしい意匠や参拝者の座席など、細部まで見学しました。撮影禁止のため写真はありませんが、とても素晴らしかったです。上五島を訪れたら、絶対に外せない教会の1つと言えるでしょう。


五島列島

頭ヶ島天主堂のすぐ近くにあるキリシタン墓地も、頭ヶ島の見どころの1つ。海辺の墓地には、十字架が掲げられた墓石がいくつも並んでいます。この墓地は、キリスト教禁教が解かれた後の明治38年頃に建てられました。

我々が訪れた5月はマツバギクの季節。ピンク色の花々が美しく、そして整然と墓地を彩っており、この墓地が住民に大切にされているのだと感じることができました。




上五島空港 現在は使われていない上五島の空の玄関

五島列島

16:20
上五島空港に立ち寄ってみました。

実は頭ヶ島には空港があるのです。上五島では唯一の空の玄関口ですが、利用者の低迷により、2006年には定期便が廃止されてしまいました。人口の減少が大きな要因ですが、立地や気候の関係で着陸が難しく、就航率が低かったことも利用者の低迷に拍車をかけたのだそうです。

教会っぽいオシャレなデザインの上五島空港ですが、長年使われていないためか、すっかり草臥れてしまっていました。お隣の小値賀島にある小値賀空港も2006年から休港状態になってしまっており、どちらも復活は難しいかもしれません。




友住郷 石畳や石塀が美しい漁村



16:30
本日のドライブの最後に、頭ヶ島の近くにある友住郷に立ち寄りました。友住郷は中通島最東端の港町。友住港は、佐世保から西海市の島々を経由してやってくるフェリーの終着地であり、上五島の東の玄関口でもあります(1日1便のみですが…)。

そんな友住郷ですが、素敵な街並が見られることで知られています。


五島列島

一歩路地に足を踏み入れると、そこはノスタルジックな世界。なんと石畳の路地が伸びているのです。


五島列島

五島列島

石畳だけではなく、石垣や石塀も見られます。かつて、友住郷を初めとする上五島の崎浦地区では採石が行われており、港のある友住郷は石材流通の拠点として栄えました。そんな歴史もあり、中通島の北東に位置する崎浦には、石を使った集落風景が多く見られるのです。


五島列島

海へと下っていく石畳の路地。非常に絵になる風景です。

友住郷、ちょっと車を停めて、徒歩で散策してみるのがおススメです。




和風ペンションし喜の夕食

五島列島

本日1日かけて上五島を周遊し、宿のある有川に戻ってきました。流石に1日だけでは足りず、かなり急ぎ足の観光になってしまいました。落ち着いて観光するのであれば2日間、教会などをゆっくり巡りたいのであれば3日は欲しい所ですね。

レンタカーを返却し、夕焼けを眺めながら宿へと戻りました。


五島列島

今夜も昨夜に引き続き、有川の中心地にある和風ペンションし喜に宿泊。今夜は宿で夕食をいただきました。

和風ペンションし喜の夕食は、五島うどんをおかずにご飯を食べるという、ボリューム満点な夕食。さらにはからあげや刺身盛り合わせも付いてきました。この夕食が付いて1泊6,000円台(朝食は無し)。素晴らしいとしか言えませんね。

なお、この宿は居酒屋も営んでいるため、美味しいお酒をいただくこともできます(お酒は別料金)。五島うどんでご飯を食べながらビールを飲むという、とても贅沢な夕食を楽しみました。


次回は五島列島旅行の5日目。中通島でコムスをレンタルします。

五島列島旅行記【5-1】コムスで上五島ドライブ

五島列島旅行記【5-1】コムスで上五島ドライブ


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|投稿:2022.11.02 | 最終更新:2022.11.13 |カテゴリ: 旅行記

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