信州高山温泉郷の秘湯、五色温泉五色の湯旅館に泊まってきた(長野県高山村)
新型コロナウイルスの影響で、苦しい状況が続く観光業界。苦境に立たされている宿泊施設や旅行会社を支援するため、僕が住む長野県では、2021年2~3月にかけ、「県民支えあい 県民宿泊割」という事業が行われました。これは長野県民を対象とした事業で、県内の対象宿泊施設に泊まった場合、一定額が割り引かれるというものです。
せっかくなので、普段はなかなか泊まる機会のない近場の温泉宿に泊まりにいこうということになり、長野県高山村にある五色温泉五色の湯旅館に泊まってきました。泉質の良いことで知られる五色温泉。非常に素晴らしい旅館だったので、この記事で、その魅力を紹介したいと思います。
五色温泉五色の湯旅館ってどこにあるの?
今回紹介する五色温泉五色の湯旅館は、長野県の北部(北信地方)に位置する高山村にあります。同じく北信地方にある野沢温泉や湯田中渋温泉郷に比べると知名度は高くはないのですが、高山村も名湯がひしめき合うエリアです。
高山村を東西に横切るように流れている松川。この松川が形成する松川渓谷に沿って、秘湯が点在しています。下流から子安温泉、蕨温泉、山田温泉、松川渓谷温泉、五色温泉、七味温泉、奥山田温泉。これらを総称して信州高山温泉郷と呼ばれています。
五色温泉五色の湯旅館は、松川渓谷のかなり上流域にある秘境の一軒宿です。
宿は古くからある本館(左の写真)と、新しく建てられた新館(右の写真)に分かれており、新館の方が宿泊料が3,000円高く設定されています。
今回は本館を選択しました。本館は1泊2食付きで17,500円/人。先述した「県民支えあい 県民宿泊割」により、1人あたり5,000円の割引で泊まることができました。
五色の湯旅館へのアクセス
車でのアクセス
秘湯と呼ばれる五色温泉ですが、宿の目の前を県道が通っているため、車があれば比較的容易にアクセスすることが可能です。
■上信越道の小布施スマートICから長野県道66号線などを経由して約30分
■上信越道の須坂長野東ICから北信濃くだもの街道、長野県道112、66号線を経由して約40分
宿の向かいには、数台が停められる駐車場があります。
バスでのアクセス
■長野電鉄の須坂駅から長電バスの山田温泉線に乗車し、約1時間。終点の「山田温泉」停留所で下車。停留所から宿までは送迎有。
五色の湯旅館のお風呂
五色温泉五色の湯旅館の魅力と言えば、何といっても温泉。…というわけで、まずはお風呂から紹介していきます。
五色の湯旅館にはかつて趣深い木造の浴室があり、温泉マニアの間では有名な存在でした。しかし、その浴室は現存せず、2017年に新たな浴室に建て替えられました。浴室がリニューアルしても、名湯は健在。ゆっくりと五色の湯を楽しむことにしましょう。
崖っぷちに建っている五色の湯旅館。浴室へ向かうためには階段で下へ、つまり谷底の方へ向かう必要があります。
階段で地下1階へ下り、渡り廊下を歩いたところに浴室がある棟があります。男女別の大浴場と家族風呂がありますが、まずは大浴場から紹介していきたいと思います。
大浴場・露天風呂
こちらが五色の湯旅館の大浴場です!
2017年にリニューアルした浴室は、先代と同様に木がふんだんに使われてたもの。浴室の大半を占める長方形の浴槽を、緑がかったお湯が満たしています。水面は、白い湯の花に覆われており、浴室内は酸味を帯びた硫黄臭に包まれています。
洗い場はご覧のとおり。リニューアルに伴い、シャワーとカランがある近代的な設備に変わっています。
五色の湯に身を沈めてみました。温度は適温。無数の湯の花が体に張り付く感触。強めの硫黄臭とともに、柑橘系っぽい酸っぱい香り。お湯は、抹茶を溶いたかのような深みのある緑色ですが、白濁色に変化することもあるようです。このことが“五色”温泉の名の由来なんだとか。
実力派の温泉が多い信州高山温泉郷ですが、ここまで個性的なお湯は他に無いのではないでしょうか。温泉好きには強くおススメしたいお湯ですね。
なお、こちらの温泉、長湯は禁物。私自身、この素晴らしい名湯をじっくりと堪能すべく、普段より長めにお湯に浸かっていたのですが、軽い湯あたり状態となってしまいました。お湯を楽しむのであれば、適度に休憩をはさみつつ、何度も浴室に足を運ぶのが良いと思います。
露天風呂もありますが、残念ながら冬期間は利用できないようです。お湯が張られているように見えますが、これはただの水。宿の方曰く、「パイプの保護のため、水を流しっぱなしにしている」とのこと。
ちなみに、この露天風呂とは別に、かつては目の前を流れる松川渓谷の河原に野趣あふれる「野天風呂」がありました。現在は閉鎖中とのことですが、復活する日は来るのでしょうか。
家族風呂
五色の湯旅館には、家族風呂が1つあります。使用する場合には、入口前の看板を「使用中」にし、内側から鍵をかけるというスタイルとなっています。予約制ではないため、空いている時間を見計らって利用するという感じですね。
家族風呂自体は2人が入ったらいっぱいになってしまいそうな程の小さな湯船と、洗い場が1つ。大人3人以上で入るのは厳しいと思います。
五色の湯旅館の食事
五色の湯旅館の食事は、夕食、朝食ともにロビーの隣にある食堂でいただくことになっています。
温泉だけでなく食事にも定評がある宿なので、とても楽しみにしていました。夕食、朝食ともに素晴らしい食事だったので、紹介したいと思います。
夕食
こちらが五色の湯旅館の夕食です。
右上のお鍋は、麦豚の味噌鍋。
こちらが前菜。
手前が五色の湯旅館の名物料理、サワガニの唐揚げ。香ばしい小さなカニは、丸ごとボリボリと食べることができます。女将さん曰く、かつては目の前の松川渓谷で捕っていたのですが、危険なので現在は魚屋さんから買っているのだとか。魚屋で売っているのか、サワガニ。
笹に乗っているのが、左から生ハムクリームチーズ、長野市松代産の長芋、生麩のフキ味噌田楽。
奥が菊芋の味噌漬けとウルイの酢漬け。
地産地消かつ、普段家ではあまり食べる機会のない食材が並びます。素材の味を生かしつつも、丁寧な仕事がされていて、どれも美味しいです。
信州サーモンと大岩魚の刺身。どちらも全くクセがありません。
温かい料理が後から出てきました。
岩魚の塩焼き。山奥の秘湯と言えば、やはり川魚の塩焼き。身が驚くほどしっとりとしていて、絶品でした。
天ぷらには季節の食材も使われています。
フキノトウ、ウドの天ぷらは春を感じる一品。珍しいものとして、リンゴの天ぷらもありました。甘いリンゴには、意外にも塩が合う!
デザートもリンゴ。最初から最後まで、信州の食材を堪能できる夕食でした。
朝食
朝食もまた素敵です。
真ん中に鎮座するのは信州サーモンの焼き漬け。醤油の味が染みているので、何もかけなくてもご飯がめちゃくちゃ進むし、大根おろしとの相性も抜群なんです。これは美味い。
その他にも菊芋のキンピラ、そうめんかぼちゃの酢の物、ジコボウ(ハナイグチというキノコ)の味噌汁など、初めて味わうような料理が並びます。どれもとても美味しい!
朝からごはんをモリモリといただきました。朝風呂からの、この朝食。これだけで健康的になれる気がしますね。
五色の湯旅館のお部屋
五色の湯旅館のお部屋を紹介します。
五色の湯旅館は本館と新館に分かれていますが、今回は古い方の本館に泊まりました。本館の方が古く、新館の客室には付いているトイレとバスがありませんが、新館よりも3,000円安く泊まることができます。
古家具とランプの灯りが懐かしい雰囲気を醸し出す、素敵な和室でした。
大きな窓からは松川渓谷を眺めることができます。新緑、紅葉、雪景色…。どの季節に訪れても、素晴らしい景色が楽しみながら、のんびりと過ごすことができるのです。
タヌキも見られるかも!
最後に、五色の湯旅館の魅力をもう1つお伝えします。それは玄関先で野生動物が見られるということです。
夕食をあらかた食べ終え、食堂でマッタリをしていたところ、女将さんから「タヌキが来ましたよ」と声がかかりました。
玄関へ行ってみると…。
おお!タヌキだ!
玄関先にタヌキが2頭遊びに来ていました(分かりにくいですが、写真奥にもタヌキが写っています)。冬毛なのでモコモコとして可愛いですね。女将さん曰く、彼らは夫婦のタヌキだそう。先日までは子供たちも一緒に来ていたようです。子供たちは親離れしたんでしょうかね。
時は変わって21時頃。入浴後にロビーで涼んでいたところ、またもや玄関先に野生動物の影が…。覗いてみると、タヌキとはまた違う動物が…。
これはテンですね。
この短時間で2種類もの野生動物を見ることができました。五色の湯旅館に泊まったら、玄関先で動物を待ってみるというのも楽しいのではないでしょうか。
ブログランキング参加中!クリックで応援をよろしくお願いいたします。

にほんブログ村
- 関連記事
|投稿:2021.04.27 | 最終更新:2021.04.27 |カテゴリ: 長野県