宇和海を望む外泊集落 石垣の里を散策してみた(愛媛県愛南町)
愛媛県の最南端、高知県との県境に位置する愛南町。今回は愛南町にある素敵な集落を紹介します。
地図を見ていただけると分かるように、佐田岬半島から愛南町にかけ、愛媛県南西部にはリアス式海岸が発達しています。愛南町にも由良半島、西海半島といった、複雑な海岸線を持つ半島が存在します。
複雑に入り組んだ海岸は、まさに天然の良港。愛南町はハマチや真珠の養殖が盛んで、入り組んだ海岸沿いにはたくさんの漁村が点在しています。この記事ではそんな無数にある漁村の中から、「石垣の里」と呼ばれる外泊集落を紹介したいと思います。
愛南町外泊集落とは?
今回紹介する外泊集落は、愛南町の南部にある西海半島にある小さな漁村。サンゴのように枝分かれしている西海半島ですが、外泊集落は半島の西部に位置しています。2つの岬に挟まれた小さな湾に面しており、湾内ではハマチの養殖が行われているようです。
集落が出来たのは幕末~明治時代頃。外泊集落の東隣にある中泊集落の人口が増え、家を建てるスペースが無くなってしまったため、二男以下の住民が土地を開拓し、移住したのだそうです。こちらの集落には、33世帯78人が暮らしています(2015年時点のデータ)。
こちらが外泊集落。
海と山に挟まれた谷に、重厚な石垣に囲まれた要塞のような家々がビッシリと建ち並んでいます。外洋からの強風や塩害から家を守るため、このような風景が生まれたのだそうです。全国的に見ても非常に独特な街並が残されており、「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」、「美しい日本の歴史的風土100選」に選定されています。
外泊集落へのアクセス・駐車場情報
車でのアクセス
■宇和島道路の津島岩松ICから国道56号線、愛媛県道34号線などを経由して約50分
■中村宿毛道路の宿毛和田ICから国道56号線、愛媛県道34号線などを経由して約50分
外泊集落の海側、県道34号線沿いに外泊公会所があります。観光で来た場合、こちらの駐車場を利用することが可能です。十数台分の駐車スペースに加え、公衆トイレと休憩所が併設されています。
バスでのアクセス
公共交通機関で外泊集落に行くためには、まずは愛南町の御荘まで行き、そこから外泊行きのバスに乗り換える必要があります。御荘までは①愛媛県の宇和島駅、②高知県の宿毛駅からそれぞれアクセス可能です。
①宇和島駅から御荘へのアクセス
■予讃線の宇和島駅から宇和島自動車の路線バス「城辺行き」または「宿毛行き」に乗車し、約1時間20分。「御荘」停留所で下車。
※バスは概ね1時間に1本
②宿毛駅から御荘へのアクセス
■土佐くろしお鉄道の宿毛駅から宇和島自動車の路線バス「宇和島駅前行き」に乗車し、約45分。「御荘」停留所で下車。
※バスは概ね2時間に1本
御荘から外泊へのアクセス
■「御荘」停留所から宇和島自動車の路線バス「外泊行き」に乗車し、約30分。終点の「外泊」停留所で下車。
※バスは1日5本
【参考】宇和島自動車
※宇和島または宿毛から御荘までのバスは「松山線」というメニューを参照
※御荘から外泊へのバスは「路線バス→城辺支線」を参照
外泊集落を散策してみた
外泊集落まで来たら、是非とも集落の中を散策してください。駐車場に車を停め、徒歩で歩いてみました。
こちらが現地に設置してあったガイドマップ。
山に挟まれた谷の中に、石垣に囲まれた家が所狭しと並んでいるのが分かると思います。そして家々の間を、階段や路地が碁盤の目のように張り巡らされているのです。
まずは、民家の間をくぐるように延びている路地に入っていきます。
細い路地を突き進むと、まるで城跡のような石垣と階段が現れます。いよいよ「石垣の里」と呼ばれる外泊の核心部へと入っていくわけです。
この精巧な石垣も、住民が1つ1つ積み上げたもの。山を切り拓いた際に出土した石を使用しているそうです。
よく見ると石垣の一部が凹んでいますが、これは「遠見の窓」と呼ばれる構造。ちょうど家の窓の正面にあたる部分が凹んでいます。家の中から海の状況が見られるように、このような構造になっているんだとか。漁師町ならではの工夫ですね。
石垣に囲まれた家並は斜面の上の方まで続いています。ほぼ垂直にそそり立つ石垣の間に設置された急な階段を登っていきます。もちろん自動車や自転車で入ることはできません。自分の足でえっちらおっちらと登っていきます。
両脇に聳える石垣が凄すぎて、城跡を散策しているような錯覚に陥りますが、ここは漁村です。
上まで登ってくると、少し息が切れますね。住民の方は毎日ここを上り下りしているのだから、頭が下がります。大きな買い物をした時などは大変そうですね。
石が敷き詰められた「石畳の道」もあったり。細かな石がビッシリと敷き詰められているのですが、驚くほど平らに造られており、意外と歩きやすいんです。これは凄い。
石造りの坂を登っていくと、海を見下す展望所がありました。複雑に入り組んだリアス式海岸の美しさを、ここから眺めることができます。海面に幾つも浮かぶ生簀は、ハマチの養殖場のようですね。
非常に素晴らしい景色なんですが、所々石垣の上が更地になっている区画が見えました。この集落にも過疎化の波が押し寄せているようです。空き家になってしまうと、石垣や建物の維持は難しいでしょう。伝統的な町並の保存の難しさを、改めて考えさせられました。
旅程の関係上あまり時間がなく、外泊集落散策に費やした時間は20分程度でした。色々な見どころをしっかりと見るのであれば30分~1時間程は確保したいところですね。
写真にもチラリと写っていますが、「だんだん館」という食事処もあるので、ゆっくりと腰を据えて楽しむのも良いと思いますよ。
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|投稿:2021.06.25 | 最終更新:2021.06.25 |カテゴリ: 愛媛県