五島列島旅行記【5-2】日帰りで行く野崎島【前編】
2022年5月7日(土) |
五島列島旅行5日目。
五島列島南部の福江島から始まった旅、5日目にして、五島列島の北部にある小値賀島までやってきました。本日から1日かけて小値賀島と、その周辺に点在する小さな島々を巡りたいと思います。
最初のターゲットは小値賀島の東部にある野崎島。
中通島最北端の津和崎鼻からも見えましたが、野崎島は中通島の津和崎から600m程沖に浮かぶ島。大きさは小値賀島の半分程。五島列島の中では大きな部類の島ですが、実質的には無人島です。「実質的に」と書いたのは、野崎島に住民票を置いている方が1名のみいるため。この方は島にある野崎島自然学塾村の管理人であり、島にある教会の案内等のために駐在している方なんだそうです。
そんな野崎島ですが、五島列島の中でも人気がある島の1つ。その理由は、野崎島の集落が世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する遺産の1つであるため。特に、集落に建つ旧野首教会は廃教会ながら、五島列島でも屈指の人気を誇る教会です。
今回は小値賀島を拠点とし、日帰りで野崎島を訪問する計画です。
野崎島を訪れるには事前連絡が必要
野崎島を訪れるにあたって注意点がいくつかありますが、何といっても重要なのが事前に「おぢかアイランドツーリズム」に連絡しておく必要があること。野崎島は「ほぼ無人島」。島を訪れたは良いけれど、帰り便が欠航となり島に取り残されるといったトラブルを避けるため、事前に訪問者を把握しておくということなのだそうです。
【参考】おぢかアイランドツーリズム
小値賀港ターミナルの建物の中には総合案内所があります。ここがおぢかツーリズムアイランド協会。野崎島に行くにあたり、こちらに荷物を預けることができます。野崎島内の移動は基本的に徒歩。スーツケースなど、重い荷物は邪魔になるため、こちらに預けさせていただきました。
野崎島へ向かう小値賀町営船「はまゆう」が発着しているのは笛吹港。小値賀港ターミナルからは徒歩5分くらい離れた場所に位置しているので、注意しましょう。
町営船「はまゆう」で野崎島へ
こちらが小値賀町営船「はまゆう」。かなり小さめの船ですが、50名以上も乗れるようです。「はまゆう」は小値賀港の隣にある笛吹港を拠点とし、小値賀島の周辺にある大島、六島、そして野崎島という3つの島の間を行き来しています。
かなりローカルな雰囲気で、切符は船内で船員さんから購入します。
船内はこんな感じ。3人がけの座席が並んでおり、非常に快適。デッキにも数席ほど椅子席があります。
11:10
我々と数組の観光客を乗せ、「はまゆう」が出港。教会を訪れる観光客を意識しているのか、「はまゆう」は荘厳なBGMを大音量で流しつつ、野崎島へ向かって進んでいきます。船が小型なので、波で結構揺れるのですが、そんなことはお構いなし。トビウオのように猛スピードで海上を駆け抜けます。
11:25
船は野崎島の南側をグルリと回り、野崎島の東岸へ。ここで船内放送。野崎島南端にあった集落、舟森集落跡が見えるとのこと。
なるほど、確かに険しい斜面を切り拓いたような跡があり、階段や石垣、さらには十字架のような物まで見えました。おおよそ人が暮らせそうな場所とは思えないほど険しい斜面ですが、確かにここでも生活が営まれていました。野崎島には3つの集落がありましたが、舟森集落が最も早い1966年に廃村になったのだそうです。
舟森集落へは、野崎島の港から徒歩で2時間の道のり。迷いやすいルートなので、ガイド同伴で訪れることが推奨されています。
「はまゆう」は野崎島の東側の海域に入り、いよいよ上陸の瞬間が近づいてきました。
そんな中、進行方向左側には立派な教会が見えました。
これこそが旧野首教会。野崎島中央部の野首集落跡にある、島のシンボル的存在です。確かに物凄い存在感。ただものではないオーラを身にまとった教会です。
11:30
野崎島に到着しました。小値賀島からの距離は近いですが、島の東側に回り込むので、20分くらいかかりました。
野崎港から旧野首教会を目指す
野崎島に着いたら、港の目の前にあるビジターセンターへ。島を訪れる場合は、必ずビジターセンターに立ち寄る必要があります。
同じ便で訪れたお客さん全員で、スタッフのお話を聞きます。基本的には野崎島の道の案内や、散策の際の注意事項、滑りやすい箇所なども教えていただきました。
なお、ビジターセンターには綺麗なトイレがあります。島内にはビジターセンターと旧野首教会近くにある野崎島自然学塾村にしかトイレがないため、ここで済ませておくことをおススメします。
野崎港の近くには野崎集落跡が広がっています。保存されている一部の家を除けば、全て廃墟となり、崩壊してしまっているものがほとんどです。
道自体は管理されているため、問題なく散策することができます。
帰りの便の出発時刻までは約3時間半。まずはこの島を訪れた一番の目的である旧野首教会へ向かうことにしました。
家も畑も自然に還りつつある何とも寂しい光景。やはり人の手が入らなくなると、どんどん植物に飲み込まれていくのですね。
所々植物も無く、土が剥き出しになっている箇所が…。これは増えすぎたシカによる食害なんだそうです。
港から数分歩くと集落が途切れ、森の中に入ります。森の手前には獣除けのための思われる金網。
野崎島にはシカとイノシシが生息しています。イノシシに出会うことはありませんでしたが、シカには何頭も遭遇しました。
早速森の中にシカ。シカはジッとこちらの様子をうかがっていましたが、すぐに森の奥へと消えていきました。
基本的にはどこの地域でも同様ですが、野生動物とは極力関わらないことがルール。可愛いですが、遠くから眺めるのみに留め、エサをあげたりすることは絶対にやめましょう。
ちなみに野崎集落を出たあたりから、急な上り坂が始まります。野崎港から旧野首教会までは徒歩で30分程度。そこまで長い距離ではありませんが、この辺りは少し息が切れました。
小高い峠のようなところを通るため、そこからの景色は抜群。野崎港の東側に広がる大草原を望むことができます。この草原は「サバンナ」と呼ばれているそう。確かにアフリカの草原を彷彿させる雄大な景色です。
眼下にはエメラルドブルーに輝く海。どちらを見ても絶景。疲れも吹き飛びます。
野崎集落から上り坂が続いていますが、野首集落の手前で峠を越え、今度は急な下り坂へと転じます。野崎港から旧野首教会まではほとんど全ての区間が舗装されており、坂は多いですが、割と歩きやすいです。野崎島自然学塾村の管理人や工事関係者が車で通行するためか、軽自動車が通れる程度の幅は確保されていました。
12:15
ビジターセンターを出発し、のんびり写真を撮りながら歩くこと約25分。ついに旧野首教会が見えました。
南北に細長い野崎島の中央部、2つの山に挟まれた僅かな平地。ここに野首集落があり、住民の心の拠り所として、野首教会がありました。家や畑はほとんど残っていませんが、教会だけは今でも大事に保存されています。
ちなみに左下に見えている建物が、野崎島唯一の宿泊施設であり、唯一の住民が住む野崎島自然学塾村。1985年に廃校になった小中学校を再利用した施設で、宿泊だけでなく有料で休憩をすることも可能です。
野首集落へ向け、急な下り坂をゆっくりと下り、旧野首教会に到着しました。
旧野首教会 住民が去った孤島に佇む荘厳な教会
12:25
こちらが旧野首教会です!
これは凄い…!特別大きいわけでも、特別豪華な造りというわけでもありませんが、言葉では言い表せない荘厳さ、迫力があります。周囲に何もないというシチュエーションも相まって、物凄い存在感を放つ教会です。
旧野首教会が完成したのは1908年。なんと明治時代に建てられた建物なのです。1971年に野首集落が廃村になってからは放置されていましたが、1989年に長崎県の指定有形文化財に指定され、修復されました。
なお、僕が訪れた2022年の5月時点では教会が崩落しているようで、内部への侵入が禁止されていました。中を覗き込んだ限りでは壊れている様子は無かったのですが、長い年月風雨に晒され、見えない部分が傷んできているのでしょうね…。
この教会を見るために海を渡り、30分歩いてきたので、しばらくの間教会を眺めていました。
次回は野崎島のその他の見どころを巡ります。
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|投稿:2022.11.17 | 最終更新:2022.11.17 |カテゴリ: 旅行記